学祭のドヘタシンガー

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私の人生のエピソードとして一番に挙げられるものは三年生時の学祭です。

大学で一番仲の良い友達に「学祭で歌おう」と言われた事から全ては始まりました。

この友達はサークルは違えど、受ける講義はほとんど同じで、趣味や食事の好みなど、すべてにおいて似ている点が非常に多かったです。

彼とはいつも一緒にいました。

とにかくくだらない事やお互いの恋愛話や愚痴など、本当に1から10まで全て話すくらい仲が良かったです。

 
そんな彼と私とで決定的に違う点が存在しました。

それは「積極性」です。

私は彼と比べ明らかに積極性がなく、主体的に何かにチャレンジするような事はありませでした。

そんな違いに気づき始めているタイミングで「学祭で歌おう」と声をかけてくれました。

そのため「もちろん」と答えるつもりでしたが、決意が固まらず保留させて頂きました。

 
「ここで断れば差は広がる」と負けず嫌いで強がりな性格が背中を押しつつ、「人前に出るのは恥ずかしい」と普段の私が抑止します。

そんな日々が一週間続きました。

どうしても決められないのでとりあえず「一緒に歌おう」と言ってみて反応を見てみる事にしました。

「一緒に歌お、、」最後まで言い切る前に満面の笑みを浮かべ、手を差し出してくる彼。
もうその瞬間に決意は固まりました。

たかが学祭レベルですが私にとってはとても大きな挑戦です。

カラオケは好きでしたが、人前で歌ったことなど一度もなく、まさに未知の世界でした。

 
そこからは学祭までの二か月間、二人で何度もカラオケに通い練習を重ねました。

練習すればするほど不安は募ります。

「そもそもなんで歌なの?」「なんで自分を誘ったの?」そんなことを考えながらも強がりな私は彼にそんな思いを伝えられずないような日々を過ごす私とは異なり、彼は練習を楽しみ、本番を待ちに待っている様子でした。

差は埋まりません。

しかしそんな彼を見ていると不思議と不安が消えて行ったのを今でも鮮明に覚えています。

恐らく彼は私の強がりに気付いていたと思います。

 
本番当日を迎え練習した歌をわざわざ聞きにきて下さった方たちの前で披露させて頂きました。

もともとあまり上手くないですが本番は緊張がピークに達し、その歌は練習を含めて一番ひどかったです。

しかし、終わってみると「恥ずかしい」とか「なんで自分を誘ったの?」という気持ちはありませんでした。

純粋に楽しかったからです。
たった一回で挑戦する事が癖になったとは思いません。

しかし、挑戦することの楽しさや意義をその経験から学びました。

この経験は後に就職活動でかなり活きました。本当に納得のいく形で就職活動を終わらせる事ができました。

挑戦する事の楽しさを彼に教わりました。

今では彼と私との差は無いと感じています。

感謝してもしきれません。

未だにありがとうとは言えていませんが。

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